2008 ミラノサローネ(6) 村上隆『芸術起業論』

この数年、日本企業がミラノサローネの機会を狙って多く出展するようになりました。レクサスは今年で4年目ですし、キャノンがトリエンナーレで出展します。デザイン振興会も一昨年に続き実施するとのことです。こうした既に欧州市場に進出している大企業だけでなく、これから進出の手がかりを作ろうとする会社やデザインスタジオも発表の場をミラノに求めています。ぼくは、こういった人たちには、コンテンポラリーアーティストの村上隆『芸術起業論』は参考になりますと薦めています。相手とする市場のコンテクストをどう読み解き、そこにどう自分の作品を位置づけてきたか。これを彼は説いています。

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上はナポリにあるコンテンポラリーアートのギャラリーで最近発表された作品です。この作家の名前は今週の最後に書きます。お楽しみに(笑)。で、本題ですが、一言でいうと「日本のよいものは外国人といえども心で自然に分かってくれる」と考えてはいけないのです。それはたまに分かってくれることもあります。ただ、もともとが異なる文化なのですから、そこに若干の理解のずれは仕方ありません。村上春樹の小説が世界のそれぞれの言葉で訳されヒットしているのを、「彼らは本当はわかっていない」と言ったらそこでおしまいです。

「2008年ミラノサローネ(3)」で書いたように、ヨーロッパの人たちは、抽象的な理念あるいはコンセプトを緻密に練り上げるトレーニングを積んできました。自分の考えを、ある構成モデルにそって文章を書き上げる。文章に書かなくても、そういう頭の使い方をするのです。ですから、もしあなたが「直感的に分かって欲しいんだよ!」と訴えるなら、どうしてそういう風に思って欲しいかの文化的背景を説明しないと「なるほどね」と相手は言ってくれないのです。それが粋じゃないと思って躊躇していてもコトははじまりません。まず、説明です。

展示会場の入り口で作品の趣旨をきちんと読むといいですよと書きましたが、 ヨーロッパの人たちの行動をじっと眺めてみてください。入り口で立ち止まって文章を読んでいる人たちが殊のほか多いことに気づくはずです。

 

 

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2008 | Author 安西 洋之