ミラノサローネ2009(27)-オープンオフィスデイ

来月のミラノサローネ期間、オフ会をやろうと思っているのですが、シリコンバレーにいる梅田望夫氏のブログを読んでいて、「そうか、オープンオフィスデイという手もあったか・・・」と考え始めました。若い人達を相手に講演した内容が書かれているのですが、その前にオフィスに一グループで10人くらいずつ来てもらって、1時間半ほど話し合ったようです。このアイデアを拝借し、考えてみましょう。

それはさておき、この講演内容を読みながら、およそ25年前、大学卒業後に自動車業界を選んだ人間としては、思うことが色々あります。そして約18年前にはイタリアです。梅田氏には「成熟産業」「下降国」と呼ばれそうな、彼とは反対の選択をしてきたわけです。上の世代が何か分からないこと、つまり新しい時代の主人公を演じることができる分野、それが30年前近くではITだったと、彼は判断したようです。

一方、ぼくはどういう考え方をしたかと思い出してみました。以前書いたように、全体を把握することの拘りがぼくには強く、もう一つは、新しく長持ちするコンセプトは成熟した社会でこそ生まれる、という思いが強くありました。特定の業界ではなく、文化の先端でしか流れない空気の味に一番最初に接してみたかったのです。

しかしながら、梅田氏が語った「あそこで仕事がしたいな。あの青い空の下の気持ちのいい気候のなかで何か仕事がしたい」という、求めるものに対する視覚的イメージの大切さについては、ぼくも同意見です。それがぼくにとっては、トリノの街のなかにある「エレガントな空気が漂う、ものを考えるに相応しいオフィス空間」でした。そして、その夢を押してくれたのが、日本のバブル経済でした。梅田氏の言葉でいえば「時代の力」だったのです。

bbhandagathachristie

「時代の力」が全てではないですが、「時代の力」に逆らってもサバイバルできません。ここの見極めが、最大の難関なのですが、紋章デザイナーの山下一根さんの師匠ハイム大司教の遺言を「ユーロッパ文化部ノート」で紹介したことがあるので、ここに引用しましょう。上の写真は、英国の小説家アガサ・クリスティとハイム大司教です。最近、ぼくは、「時代の流れや力」といった文脈のなかで、このハイム大司教の言葉が必ず頭に浮かんできます。

ハイム大司教からの小生へのA4で23枚にもなる遺言からの一つを伝えます。

『Mio Carissimo Amatissimo Ikkon、世の中で一番怖いものは何か分かりますか?私は水だと思います。私は、この90年以上の人生で、第1次世界大戦も第2次世界大戦も、実際にこの目でヒトラーの演説も見ました。そしてユダヤ人をスイス国内にかくまうことにも手を貸し、大司教になってからもエジプト、スウェーデン、イギリスとみてきました。それでも水は怖いのです。何をいいたいか、霊的息子よ、わかりますか? ようは水、流れということなのです。

洪水はすべてを流し去って無になり何も残りません。流れも、それまでの思想、考え、方向を一瞬のうちに『気づかないうちに』変えてしまいます。だから、流れをかぎつける力を養いなさい。たとえ、その時代時代の教会と異なる流れでも、その流れは見ていなさい。社会あってのこの世、われわれは神の子であって、神じゃないのですよ。人間です。一人では生きていけないのです。。。。以下続く。。。。。 2002年11月22日

あなたの血のつながりのない、しかし誰よりも愛した父、ザントの大司教より』
とかかれています。すごいです。この言葉。。。

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2009 | Author 安西 洋之