ミラノサローネ 2009(26)-ヘンな感じの日本人
Date:09/3/24

ぼくは『ヨーロッパの目 日本の目』のなかで、ヨーロッパ人が日本製品に関する違和感をどう認識し、それをどう解決するかについて書きました。解決とは、その違和感をセールスポイントとするか、その違和感を解消するようにするか、この二つのどちらかです。この問題をどうにかしないと、日本製品の存在感は低下する一方であると、2008年ミラノサローネも例にとりながら、声を大ににしたつもりです。
カイ・サワベさんの『ヘンな感じの日本人』を読み、これはかなり難しいトライをしたなと思いました。外国人が日本文化の違和感を書くと、日本人は比較的大らかに外国人の感想を聞き納得する傾向があるのではないかと思います。しかし、外国に住む日本人の日本社会批評は、半ば「今の日本のことがわかっていないから、そういうのだろう」と、外国人の場合もそうであるのに、この部分を前面に出して防御することがままあります。そのため、サワベさんは、やや三枚目的な「ヘンな日本人」を演じることによって、この壁をすり抜けるという「知能犯的」な行為をしようとしたのではないかと思います。「ぼくもヘンな日本人になっちゃってるけど、だからかな、日本に行って見える風景ってヘンなんだよね」と。つまり書名の「ヘンな感じの日本人」はダブルミーニングではないかとぼくは睨んだのです。その証拠に帯に「あなたがヘンか?サワベがヘンか?」と書かれています。
いずれにせよ、我田引水的な表現をあえて許していただければ、ぼくがヨーロッパ人が抱く違和感を対象としたのと全く表裏の関係で、サワベさんは自分を外国人(あるいはヘンな日本人)として日本社会の違和感を語ったのが、この本です。
正確にいえば、サワベさんは沢辺さんではなくSAWABEさんです。日本の赤いパスポートからドイツのパスポートに変更しているので、外国人の立場を表明することは、法的(?)に全然問題がありません。大学を卒業してからサッカーのカメラマンとしてドイツに渡り、数々の記憶に残る名試合もネット裏から見つめているうちに30年が経てしまいました。いや、サッカーだけでなく競輪もそうだし、ポートレートも撮ります。以前、フランスのピエール・ポラン自宅でリボンチェアに座るポランを撮ってくれたのもサワベさんです。とても渋い写真をとります。だからこそ、今回のサワベさんの「知能犯ぶり」が、ぼくにはとても新鮮であり、かつ「上手くやったなぁ」という台詞が思わず口からついて出て来たのです。

もちろん、「ヘンだ、ヘンだ」と言いながら、サワベさんの本心では、かなり強烈な日本社会批判になっているのは、色々なエピソードのなかで垣間見れます。しかし、それで悪い気にならないよう、細心の注意が払われています(ぼくも、日本を離れてかなり時間がたち、ちょっとヘンな立場ですから、この判断に甘さがあるかもしれませんが、それは寛大にみてください)。兎に角、この本は日本社会のあり方に寸鉄を突き刺しながらも、同時にヨーロッパ人との付き合い方を示唆してくれます。ただ、注意!!ヨーロッパに飛んでくる飛行機の中で読もうと思ってこの本を買っては失敗するでしょう。空港で搭乗の前に読み終えてしまうかもしれませんから。

帯に「カイ・サワベさんって、実はカメラマンなんです」とあるので、参考までに彼の作品が掲載されているサイトをご紹介しておきます。






