ミラノサローネ 2009(18)-カオスに慣れる

昨日、「一人で全体をみる」ことの重要性を書きました。そのために、ぼくはヨーロッパ各国の新聞オンラインを毎日読むトレーニングをしているわけですが、「どこかの誰かが正解をもっているのではないか?」という思い込みから解放されることが第一歩だと思います。その思い込みがあると、ひたすらリサーチの繰り返しになります。サッカースタジアムを設計する・・・じゃあ、イタリアや英国のスタジアムを片っ端から視察してみようということになります。そういうリサーチが全面的に悪いというわけではなく、必要ではあるのですが、リサーチからだけではコンセプトは出てきません。リサーチのやりすぎはマイナスでさえあります。

『ヨーロッパ学入門』(朝日出版社)という本はヨーロッパ文化をコンパクトにまとめています。言語学、思想史、美術史、音楽史とさまざまな分野の専門家が解説をしています。ぼくは、これはこれでいいのだが、ビジネスには一人で分かるヨーロッパ文化の見方が必要なのだと思いました。こういうことを考えながら、昨晩、小学校の子供たちの8歳の誕生会に出かけました。教会の付属施設で開催されたのですが、子供たちの破裂するエネルギーに圧倒されました。まったくストレートに感情が出てきます。カオス状態です。

サッカーはカオスのなかでどこにボールを瞬時に出すか、これが重要です。このイタリアで育つ子供たちは、このカオスに慣れています。誰に意見を聞くでもなく、自分で判断を下さざるを得ない状況に頻繁に放り出されます。ぼくの他のブログ、「ヨーロッパ文化部ノート」で最近話題になったことで、考え方の道筋に独創性がある子供に高い評点を与えるという、という内容がありますが、このような教育方針が、カオスに強くなる子供たちをつくっていきます。

昨晩は6人の子供の誕生日を一緒にやったので、ケーキのろうそくも、こうやって皆で一斉に消します。でも、それぞれお互いを気にせず、一生懸命です。

そして、こういう誕生会は、アニマトーレと呼ばれる専門の人間にお金を払い、子供たちに多様なゲームをやらせて楽しませるのが、かなり一般的です。こういう人達も、子供たちに綺麗に列を作るようには言いません。全体の盛り上がりを重視します。こういう環境で育って、「人の意見を聞かないと落ち着かない」という子供が育つだろうか・・・いや、そうならないだろう、と考えながここを後にしました。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2009 | Author 安西 洋之